近年、自動運転システムや運転支援システム(Advanced Driver Assistance System、以下ADAS)の実用化に対する安全性や環境適合性など社会的要望が高まっている。そこでは、障害物検出だけでなく、豪雨、濃霧や降雪時などの悪天候時に認識性能が低下を招かないように、ADASを有する車両の認識性能を評価する研究が進められている。
また、自動運転システムやADASを支えるカメラやアンテナなどは、歩行者や車両、建物など障害物検出をリアルタイムに認識し、無線通信による信号情報、車両、歩行者の情報を1秒以下の動的に処理する必要があり、無線アンテナへの動的な気象環境(着雪や降雪、雨、霧などが時間の経過と共に刻々と変化する気象環境)の影響を評価する必要があった。
一方、従来の試験方法は、人工的な降雪や降雨装置で単一な条件で評価を行っており、複合化した気象環境や、動的に変化する気象環境下での評価が困難であった。
そこで、我々は複合した気象環境や動的に変化する気象環境を再現可能な新たな試験装置を開発し、その装置を用いて各種評価実験を行ったので報告する。
なお、本文の内容は、2023年7月14日に、一般財団法人 日本科学技術連盟主催 第52回信頼性・保全性・安全性シンポジウムにて発表した内容を一部追記、再構成したものである。
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