共同開発

太陽電池モジュールの劣化加速試験方法の開発

太陽電池モジュールの長寿命化は、グリッドパリティー実現に向けた技術課題のひとつとなっています。この長寿命化に寄与する太陽電池モジュール信頼性向上のため、種々の環境試験方法が考案され、型式認証などに用いられてきました(IEC 61215・IEC 61646・UL 1703など)。このうち、温度サイクル試験(200サイクル: 2か月程度必要)では、試験温度幅を拡げること(高温側の昇温)は封止材などに悪影響を及ぼすため、サイクル数を延長することで、より強いストレスを供試モジュールに与えて劣化を加速する方法が検討されてきました。しかし、このサイクル数の延長により、通常の温度サイクル試験に比して数%の出力低下が報告されていますが、試験時間が大幅に伸びてしまい、実用的試験としての利用には疑問があります。そこで、我々は温度変化速度を増加させる急速温度サイクル試験法を用い、試験時間の短縮化とともに、通常の試験に比して強い温度変化ストレスを与えることで、短時間に明確な太陽電池モジュール出力の変化(劣化)が生じるか否かを検討しました。

具体的には、通常の型式認証試験に比べて急速な温度ストレス変化をモジュールに負荷することで(急速温度サイクル試験法:−40℃・85℃を各1時間交互にサイクル)、短期間で明確なモジュール出力の変化が生じるか否かを検討したところ、200〜300サイクル(1サイクル=2時間、200〜300サイクルは400〜600時間に相当)の温度サイクル負荷により、高温時のモジュールインピーダンスが有意に増加することがモジュール抵抗のリアルタイム測定によりが明らかにされました(連続インピーダンス測定法)。このような温度ストレスを与える前後のモジュールの発電特性を比較したところ、開放電圧・短絡電流はほとんど変化していませんが、最大出力・フィルファクタの30%以上の低下が観測され、従来報告されている温度サイクル試験条件でのサイクル延長による数%の出力低下に比して顕著な低下が観測されました。この出力低下の詳細なメカニズムは現状では明らかではありませんが、はんだ接合部(セル/インタコネクタ接続部やインタコネクタ間接続部)の損傷・劣化に依っている可能性が高いと考えられます。

急速温度サイクル試験を適用することで、はんだ接合部などの損傷・劣化によりモジュールの大幅な出力劣化が惹起される場合があることが確認され、これに連続インピーダンス測定を組み合わせることで、早期にはんだ接合部の異常が検出できる可能性が示されました。これは、試験時間の短縮だけでなく、故障メカニズムと密接に結びつく可能性が高い新規の劣化加速試験方法となる可能性を示しています。
なお、これらは、「高信頼性太陽電池モジュール開発・評価コンソーシアム」において独立行政法人 産業技術総合研究所などとの共同研究において得られた成果です。
急速温度サイクル試験 インピーダンス変化のオンラインモニタリング

分類 発表題目 掲載誌・発表学会など 発表者

2011

セミナー

太陽電池の信頼性評価装置の開発

 PV Japan2011専門セミナ (予定)

棚橋紀悟

その他

急速温度サイクル試験による結晶系太陽電池モジュールの劣化加速検討

第鬼 高信頼性太陽電池モジュール開発・評価コンソーシアム 成果報告書および成果報告会

青木雄一・岡本 学

総説

太陽電池モジュールの信頼性加速試験と評価条件の最適化

技術情報協会書籍
「太陽電池モジュールの信頼性試験と寿命評価」

棚橋紀悟

セミナー

太陽光モジュールの耐久性向上に向けた試験方法の検討

マテリアルライフ学会講演会 「耐久性の“見える化” 」

瀬川荘司

2010

セミナー

エスペックの環境試験技術紹介(PV関連)

第19回 PVTEC技術交流会

棚橋紀悟

学会

急速温度サイクル試験による結晶系太陽電池モジュールの劣化加速検討

電子情報通信学会
信頼性研究会(大阪)

青木雄一・岡本 学ほか

学会

急速温度サイクル試験による結晶系太陽電池モジュールの劣化加速検討

日本信頼性学会
第23回 秋季信頼性シンポジウム

岡本 学・青木雄一ほか

学会

急速温度サイクル試験による結晶系太陽電池モジュールの劣化加速検討

第71回 応用物理学会学術講演会(2010秋季)

青木雄一・岡本学ほか

セミナー

太陽電池モジュールと構成材料の信頼性試験

高分子学会 2010 接着と塗装研究会講座

棚橋紀悟


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