共同開発

熱サイクル試験の加速試験方法の開発

近年、熱サイクル試験に求められる時間が延びる一方、グローバル化による競争激化に伴い、製品開発に求められる時間は短縮傾向にあります。半導体・電子部品・実装関連材料・車載部品・小型電装品等の研究開発における評価段階では、スクリーニング(破壊試験・弱点検出)による効果的な方法が模索されています。そうした中、日本電気制御機器工業会(NECA)にてプロジェクト化した「高信頼性電子デバイス生産システムの研究開発」が平成18年度の経済産業省地域新生コンソーシアムの研究開発事業として採択され、弊社を含めたコンソーシアム参加企業・大学によって、温度変化率の高速化による時間短縮と加速性理論の検証を行って参りました。

コンソーシアムによる研究開発事業の取り組みは、具体的には、従来の熱サイクル試験と比べて、試験時間を1/3に短縮する試験装置を開発し、各種実装部品による信頼性評価を行ってきました。その結果、従来の熱サイクル試験器と相関性があり、時間短縮が可能であることが確認されました。ここでは弊社にて実験検証した事例の一部を紹介します。信頼性評価には、チップ抵抗がはんだ実装されたプリント基板を用いて、熱疲労によるはんだクラックの進行を評価しました。評価項目として断面解析によるクラックの進行状況と破壊モード、せん断強度試験を行いました。
試験時間短縮の例として温度プロファイルデータを図1に示します。また、試験サイクル経過に伴う、はんだクラック進展の様子とせん断強度変化の様子を図2、3に示します。これらの結果においても、従来の熱サイクル試験と1/3に短縮した加速試験において顕著な差が見られないことがわかりました。

図1 高加速化した熱サイクル試験と従来の熱サイクル試験の温度プロファイル
図1 高加速化した熱サイクル試験と従来の熱サイクル試験の温度プロファイル
   (試料:FR-4基板100×110×1.6mm)

図2 断面観察結果(3216サイズ Snめっき、Sn-3.0Ag-0.5Cuはんだ)
図2 断面観察結果(3216サイズ Snめっき、Sn-3.0Ag-0.5Cuはんだ)

図3 せん断強度試験結果
図3 せん断強度試験結果

1.従来の冷サイクル試験と相関性を持つ加速試験を可能にしました。
 (試料によって、従来試験との故障モード等の検証・確認が必要となります。)
2.60℃/分の物温温度変化率により、従来の試験時間を1/3に短縮させ、開発プロセスや初期設計の期間圧縮へ貢献することが
 できるようになりました。
3.時間短縮による省エネが可能となりました。
 (従来の1/3を実現可能  *TSA-71S-Wとの比較)



産学協会・発行物名 テーマ名 発表者(参加団体)
2006 経済産業省地域新生コンソーシアム
研究開発事業採択プロジェクト
高信頼性電子デバイス
生産システムの研究開発
日本電気制御機器工業会、
エスペック、経済産業省地域新生コンソーシアムメンバー企業
2009 溶接学会マイクロ接合研究委員会
ソルダリング分科会
高加速冷熱衝撃装置
(HAATS) 加速性の検証
結果
田中秀樹、大成隆章、
由利雅明、辻江一作、前川裕行

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