共同開発

シリコーン系の材料は、耐熱性の高さや、人体・プラスチックに対する毒性の低さから家電や自動車に多く利用されています。近年の自動車の軽量化に伴って、その使用量は増加傾向にあります。
しかし、電気接点を用いる機器においては、シリコーンから発生するシロキサンガスによる接触障害が以前から問題視されています。現在、素材中に含まれるシロキサンガス量や機器の使用負荷に留意して接触障害の防止に取り組んでいるものの、完全な防止には至っておらず、現在、現象の評価・解明が必要とされています。

    シロキサン_1   シロキサン_2 接点開閉による接触抵抗の変化



従来、市場での不具合を再現するために、実環境に存在するシリコーンオイルやシリコーン性の樹脂・ゴムなどを発生源として用いて、評価を実施していました。この評価方法は、現象の確認はできるものの、再現性のばらつきが大きく、定量的な確認やロバスト性を評価することが難しいという課題を持っていました。この主な原因は、周辺温度を上昇させることで、シリコーン化合物からガスを発生させるという手法をとっていたので、ガス発生量が一定でないこと、ガスが偏在してしまうことなどが考えられていました。また、シロキサンガス濃度が実環境よりも高くなる可能性も懸念されていました。
そこで、温度条件によらず、シロキサンガス濃度を一定に保つことのできる環境評価装置「シロキサン耐久試験器」を開発しました。この装置はマスフローコントローラーを用いて、濃度を制御できるところが特徴で、従来のものに比べると、シロキサンガス濃度を安定に保持することができ、時間や場所によっての濃度のばらつきが従来よりも非常に軽減されました。

図3 シロキサン耐久試験器外観
図4 従来手法との比較(シロキサンガス濃度の変化)
図3 シロキサン耐久試験器外観
図4 従来手法との比較(シロキサンガス濃度の変化)

「シロキサン耐久試験器」を利用して、オムロン様では、シリコーン化合物の量と接点抵抗値の関係を明らかにし、ある機器では、特定量のシリコーン化合物が接点に生成した場合、接触抵抗が上 昇し始めることが明らかになりました。今後は、シリコーンの種類別の生成物の差異や接点デバイスの種類別の信頼性向上の検討に利用していく予定とのお話でした。

従来手法との比較

従来手法との比較



学会 ・ 発行物名 タイトル 発表者
2009 電子情報通信学会技術研究報告 シリコーンによる電気接点接触障害の評価技術(1) 森井真喜人・
森脇弘之(オムロン)・
田中秀樹(エスペック)

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