共同開発

世界的な環境負荷化学物質の低減の動向により、エレクトロニクスや自動車などの産業分野における鉛はんだの削減および代替化が推進されています。このような状況の中、耐熱性や低温接続性などの特長を有する導電性接着剤による実装技術が、高融点鉛はんだ代替や耐熱性が低いデバイスの実装において期待されています。その一方で、導電性接着剤の実装信頼性に関する研究報告の例は少ないのが現状で、信頼性の評価の手法は確立されていません。したがって、どのような試験や評価をすればよいのか、そのためにはどのような装置を使用すればよいのか、といった根本的な問題がありました。

導電性接着剤実装の信頼性を決定するためには、環境ストレスの種類や強度、および故障の検出方法を検討し、故障に至るパラメータの判定条件を明確にすることが必要となります。そこで、環境ストレスに対する耐性や材料が持っている性能の経時変化など、故障に至るパラメータおよび故障部位の特定を行いました。評価基板を作製するための材料や実装技術は、実際の製品に近い設計条件や製造方法で行いました。評価基板には、NEDO「高温鉛はんだ代替技術開発」プロジェクトにおける標準的な組成の銀-エポキシ系導電性接着剤を使用し、その接続相性の評価のために表面処理としてスズめっき(Sn)または金フラッシュ(Au)を施したチップ抵抗をマウントしました。環境ストレスとしては、熱サイクル試験(-40℃/+125℃)、および恒温恒湿試験(85℃/85%)を基準として実施しました。

平成17年度から平成19年度まで新エネルギー産業技術開発機構(NEDO)「高温鉛はんだ代替技術開発事業」として、高性能導電性接着剤の開発と同時にこれを実用化するための実装技術、信頼性評価技術が検討されてきました。当社も、本事業に参画し信頼性評価技術を開発して参りました。本報告では、開発した信頼性評価技術の中から導電性接着剤実装基板の接続信頼性評価結果と劣化機構の一例を紹介致します。実験結果から、導電性接着剤による接続劣化は、従来の金属(はんだ)接合とは異なることがわかりました。すなわち、評価技術としては、環境ストレスは恒温恒湿試験および熱サイクル試験、故障検出には電気的特性と機械的特性の両方を総合的に判断することが有効な方法であることがわかりました。

学会 ・ 発行物名 タイトル 発表者
2009 導電性接着剤実装技術標準化推進委員会:
"第一回ICA標準化推進フォーラム
「NEDOプロジェクト導電性接着剤実装技術に関する標準化調査事業」
平成20年度活動報告書", 社団法人電子情報技術産業協会, 2009
前年度アンケート調査結果および欧州関連機関訪問実態調査報告 田中浩和
2008 産業技術総合研究所関西センター研究講演会
第3回ナノテクフォーラム, pp.23-28, 2008
導電性接着剤の高性能化と評価技術" 中川泰利, 田中浩和
日本信頼性学会 第21回秋季信頼性シンポジウム発表報文集, pp.25-28, 2008 耐湿試験によるAg系導電性接着剤の接続故障とその加速性 平田拓哉, 中川泰利,
田中浩和
第18回電子デバイスの信頼性シンポジウム発表論文集, pp.29-36, 2008 銀エポキシ系導電性接着剤の実装信頼性評価 田中浩和, 平田拓哉,
中川泰利
第18回マイクロエレクトロニクスシンポジウム論文集, pp.183-186, 2008 導電性接着剤実装の湿度劣化要因の検討 平田拓哉, 中川泰利,
田中浩和
エスペック技術情報誌, No.54, pp.11-19, 2008 導電性接着剤実装の接続信頼性試験 平田拓哉, 田中浩和
高温鉛はんだ代替技術開発プロジェクト:
"「高温鉛はんだ代替技術開発」成果報告会用資料",
独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構, 2008
   
エレクトロニクス実装学会誌, Vol.11, No.3, pp.231-238, 2008 導電性接着剤実装の信頼性評価技術 田中浩和
2007 第3回長野実装フォーラムテキスト, pp.47-59, 2007 導電性接着剤の信頼性 田中浩和
第17回マイクロエレクトロニクスシンポジウム論文集, pp.187-190, 2007 導電性接着剤の実装信頼性試験方法の検討 平田拓哉, 小林晶子,
田中浩和
日本接着学会誌, Vol.43, No.5, pp.187-194, 2007 導電性接着剤を用いた表面実装基板の信頼性試験 田中浩和

Test Naviに関するご意見・お問合せはこちら

お問合せ