Test Navi Report

輸送時の振動周波数と加速度に着目したタンパク質医薬品凝集の解析

Abstract
 免疫原性の原因になり得る、タンパク質医薬品の凝集体は振動によっても生じる。本研究では、輸送時を想定した振動によるタンパク質凝集体生成について評価した。TRE-200を用いた振とう試験の結果、凝集体生成の有無を決める振とう周波数と加速度の境界線が存在することが示唆された。この境界は、振とうによって発生する気液界面の動きに関連すると考えられた。本研究は、タンパク質医薬品の輸送時の凝集(品質低下)リスクの低減に貢献すると期待される。

 

全天候型試験装置を用いたカメラや無線アンテナの動的気象環境の影響評価

Abstract
 近年、自動運転システムや運転支援システム(Advanced Driver Assistance System、以下ADAS)の実用化に対する安全性や環境適合性など社会的要望が高まっている。そこでは、障害物検出だけでなく、豪雨、濃霧や降雪時などの悪天候時に認識性能が低下を招かないように、ADASを有する車両の認識性能を評価する研究が進められている。
 また、自動運転システムやADASを支えるカメラやアンテナなどは、歩行者や車両、建物など障害物検出をリアルタイムに認識し、無線通信による信号情報、車両、歩行者の情報を1秒以下の動的に処理する必要があり、無線アンテナへの動的な気象環境(着雪や降雪、雨、霧などが時間の経過と共に刻々と変化する気象環境)の影響を評価する必要があった。
 一方、従来の試験方法は、人工的な降雪や降雨装置で単一な条件で評価を行っており、複合化した気象環境や、動的に変化する気象環境下での評価が困難であった。
 そこで、我々は複合した気象環境や動的に変化する気象環境を再現可能な新たな試験装置を開発し、その装置を用いて各種評価実験を行ったので報告する。
 なお、本文の内容は、2023年7月14日に、一般財団法人 日本科学技術連盟主催 第52回信頼性・保全性・安全性シンポジウムにて発表した内容を一部追記、再構成したものである。

 

無人自動運転サービスの実用化に向けた各種気象環境技術の開発

Abstract
 近年、無人自動運転サービス(レベル4)の社会実装に向けた技術開発が進んでおり、その実現に向けては、5G等の無線通信による交通情報、各種車両センサーを用いたデータ情報処理が重要となっている。そのデータ情報には、信号情報,車両,歩行者の情報を1秒以下の動的に処理する必要があり、通信アンテナやセンサーへの動的な気象環境(着雪や降雪、雨、霧などが時間の経過と共に刻々と変化する気象環境)への影響を評価する必要があった。
 従来の試験方法は、人工的な降雪や降雨装置で単一な条件で評価を行っており複合化した気象環境や、動的に変化する気象環境下での評価が困難であった。
 そこで、我々は複合した気象環境や動的に変化する気象環境を再現可能な全天候型試験ラボを開発し、その装置を用いて各種評価実験を行ったので報告する。
 なお、本文の内容は、2022年9月7日に、一般社団法人エレクトロニクス実装学会主催 第32回マイクロエレクトロニクスシンポジウムにて報告した内容を一部追記、再構成したものである。 

 

HALTによるDCブラシレスファンの比較評価と機能試験での機械学習活用

Abstract
 HALTは製品に対する低温,高温,振動のステップストレス試験で稼働限界及び破壊限界を求め,製品仕様と比較することで稼働マージン及び破壊マージンを製品の強さの指標としている(図1参照)。
  限界値は,ストレス印可時に製品の動作が停止し,ストレスを取除いた状態で動作が復帰するストレス値を稼働限界,ストレスを取除いた状態でも動作が復帰しないストレス値を破壊限界としている。
 本報告はHALTによる可動部品の比較評価を行う目的でDCブラシレスファンを供試品とした。また,DCブラシレスファンの様な回転体の場合にはストレスの増加と共に回転数が徐々に変化することがあり,事前に回転数の閾値が設定されていない場合は,稼働限界の判断に困ることがあった。そこでDCブラシレスファンの機能試験ログデータを機械学習で処理することで,異常が発生又は変化するストレス値を稼働限界の判定に利用できるか確認することとした。
 なお,本文の内容は,2021年5月 日本信頼性学会主催「第29回春季信頼性シンポジウム報文集」にて報告した内容を一部追記,再構成したものである。 

 

全天候型試験ラボの開発

Abstract
 エスペックの研究開発拠点である神戸R&Dセンター(神戸市北区)に、地球上のさまざまな気象環境を再現する世界初の「全天候型試験ラボ」を2021年3月にオープンさせた。本ラボは、全天候(温湿度や雪、雨、太陽光、霧、風)に加え動的気象環境を再現でき、降雪や降雨、霧といった気象環境に温度や光を加えた複合的な気象環境や、みぞれから雪への変化、雨から霧への変化など実際の気象環境を創り出すことができる。モビリティ市場や次世代通信市場など最先端技術では、これまでよりも気象環境の変化の影響を受けやすく、その環境再現が必要となっている。全天候型試験ラボは、これら信頼性課題を見据え、あらたな開発技術を搭載したものである。さらに、今後オープンイノベーションを推進し、ニーズに合わせた技術開発や試験の基準化を行うための共創施設として運用するものである。本報告では全天候型試験ラボの開発背景と主な特徴について紹介する。 

 

HALT(6自由度振動)と電動加振(単軸振動)が供試品に与えるストレスの相関性についての一考察

Abstract
 HALTは、製品に強いストレス(6自由度振動、高速温度変化)を加え、内在する弱点を検出する定性的加速試験であり、短期間での弱点検出に有効である。しかし、ストレスの大部分を占める6自由度振動は、単軸振動と比較して複雑な動作をするため、その定量的な効果に関する研究はほとんど行われていなかった。このレポートでは、上記の2種類の振動試験を同じ試験サンプルに対して実施し、振動レベルと故障時間の相関を統計分析と故障解析により定量的に評価した。
 なお、この技術レポートは、2019年7月に開催された第49回 信頼性・保全性シンポジウムで発表された情報の修正および拡張版である。

 

全天候型人工気象室の納入事例〜埼玉県産業技術総合センター様〜

Abstract
 地球上の様々な気象環境を人工的に再現する大型の全天候型人工気象室を、埼玉県産業技術総合センター様に納入いたしました。本装置の概要と降雪装置の設計ポイントを解説いたします。
 実際に試験装置内で実現可能な気象環境は、温度、湿度、日射、降雨、降雪試験と、これらの条件を複数組み合わせた複合試験も可能です。

 

HALT(Highly Accelerated Limit Test)におけるストレスの効果

Abstract
 HALT(Highly Accelerated Limit Test)における振動ストレスと複合ストレスの効果について、アルミ電解コンデンサー実装基板を用いて定量的な評価を行った。20℃における振動ステップ試験では、アルミ電解コンデンサーのリード部分が曲げ応力の影響で破断した。その一方で、振動ステップと温度サイクルの複合ストレス試験では、アルミ電解コンデンサーのリード破断に加えて、はんだ接合部のクラックと剥離が検出された。このはんだ接合部の故障モードは、コンデンサー重量とはんだ量の実装条件に関係している。さらに、80℃における振動ステップ試験において、これらのはんだ接合部の故障モードを検出することが可能である。したがって、HALTでは試験条件に応じて様々な故障モードを検出することができる。 なお、本文の内容は、2017年7月開催の「日本科学技術連盟主催 第47回 信頼性・保全性シンポジウム」にて報告した内容を一部追記、再構成したものである。

 

ブレーキ試験装置に搭載している氷点下温湿度環境制御技術の紹介

Abstract
 自動車市場において、ブレーキダイナモメーターを使用した各種ブレーキ試験が行われている。当社は以前よりこの試験を行うブレーキ試験装置への温湿度環境創造に取り組んできたが、近年、氷点下の温湿度環境制御が求められる場合が増加している。本稿は、当社がこの要求を実現するためにブレーキ試験装置に採用している氷点下温湿度環境制御技術(特許取得済)についての紹介である。

 

HALT試験における振動ストレス効果の検討

Abstract
 近年、信頼性向上の観点からHALT/HASS (Highly Accelerated Limit Test / Highly Accelerated Stress Screen)が注目されている。本レポートでは、HALTの特長の一つである6自由度の振動に関する試験事例を報告する。9種類の実装条件を適用したアルミ電解コンデンサー実装基板に対して振動ステップ試験を実施し、実装条件の違いと故障の関係を確認した。また、応力計算から故障の起こりやすさを予測し、試験結果と比較した。これらの結果により、HALT振動ストレスの弱点検出効果が定量的に評価された。
なお本レポートは、第29回秋季信頼性シンポジウム(日本信頼性学会主催、2016年11月24日開催)の報文に加筆し、再構成したものである。

 

信頼性加速試験の国際標準IEC62506の概要とそのポイント

Abstract
 加速試験は特定の故障メカニズムに注目して,通常よりも厳しい条件で行うもので,結果の解釈には十分な注意が必要である.信頼性加速試験の国際規格であるIEC62506は,信頼性技法としての共通認識や加速試験の持つリスクや限界に対する十分な理解への必要性から2013.6に制定された.また近年では,加速試験は短期開発のために寿命の推定だけでなく, HALTに代表されるように潜在的な故障の顕在化技法としても活用されている.そのため試験条件の決定や結果の判断には技法の正しい理解が求められると共に,開発フェーズでの体系的な運用が必要となる.本稿ではメンバーとして制定に携わった立場から,この規格の制定の経緯や概要を紹介する.なお、本文の内容は,2015年6月開催の「日本信頼性学会 第23回春季信頼性シンポジウム」にて報告した内容を一部追記、再構成したものである.

 

Abstract
 実際の使用環境で所定の性能と安全性を長期間維持するため、多種類の車両に搭載される電子機器および電子機器を内蔵した機械装置について複合試験が実施されている。ここでは車の使用環境を想定した温湿度と振動を組み合わせた複合環境試験の考え方の実例と紹介を行なう。

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Abstract
 ここでは、CERT導入のガイドラインとして、故障モードと環境ストレス因子との相関を注視しながら、複合ストレス下で新たに発生する故障モード、その時の単独ストレス故障モードの加速効果、および実環境に限りなく近い複合条件下における信頼性試験への適用などについて、多少乱暴な処理についてはご理解をいただくことをお断りして、概要の解説と紹介をします。

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Abstract
 同じ機器、部品でも使用される場所や、使い方が変われば、その評価試験方法も変わる。ここでは最近進歩の著しい振動と温度の複合環境試験について紹介する。

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