Abstract
電子部品の耐湿性評価としてHAST(Highly Accelerated Stress Test System)が用いられている。HASTは試験槽内の水蒸気圧力を供試品の内部の水蒸気分圧よりも極端に高めることで、水分侵入を時間的に加速できるため、もともとは半導体など樹脂封止された部品への吸湿を促進し、その耐性を評価することを主目的として、試験方法が規格化されたものである。後述するが高温高湿とは異なる定義の温度湿度環境のため、HASTと高温高湿試験はそれぞれ別の試験法として実施されている。しかしながら一部では高温高湿試験の加速試験としてHASTを活用しているケースもある。あくまでも加速モデルの相関性が確認されている場合に限る。さらにHASTの効果は吸湿の他に、金属表面の腐食促進に対しても非常に有効であり、電子部品の腐食評価として、コネクタ端子、電極部のめっき表面の評価にも使用されている。表面腐食のうち酸化を伴う腐食には酸素の存在が不可欠であるが、HASTは原理的に酸素濃度が極めて低い。そこで酸素濃度を高めたHAST環境を実現することで、酸化腐食が加速的に促進することを目的としてAir-HASTが考案された.本稿ではそれらについて事例を交えて解説する。
なお、本文の内容は、一般社団法人 表面技術協会発行の「表面技術」誌(2019 年 70 巻 6 号 p. 297-300)にて報告した内容を一部追記、再構成したものである。 |