マテリアル特設サイト

エスペックは、自動車やエレクトロニクス、素材分野の先端材料評価に欠かせない材料試験用途の試験装置において、
当社の長年の温湿度制御技術と新たな発想で、お客さまの評価の効率化を目指したソリューションを提供しています。

新製品紹介

-40〜+180℃に温度調節した空気を噴射、試料を直接冷却・加熱し、試験を効率化するチャンバーレスシステムです。
様々な材料試験機との組み合わせによる恒温環境の再現や、先端材料の温度特性評価に最適です。

「スポット冷却加熱装置の操作方法ご紹介」   
※約5分の動画
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技術レポート・試験事例集

自動車の軽量化・5Gなどを背景に、開発が進む高分子材料は、多様な機能性を付与することができる反面、周囲環境の影響を受け物性が変化しやすい傾向にあります。
「温湿度環境を再現しながら材料試験」をすることで、強度や伸びにどのような影響がでるかを調査しました。

「引張せん断試験中の温湿度環境が接着強度に与える影響(技術レポート)」 「ポリプロピレン(OPP)・ポリエチレンナフタレート(PET)の温湿度環境下での材料評価事例」 「ポリプロピレン(PP)・ポリアミド(PA)・エチレンプロピレンゴム(EPDM)の温湿度環境下での材料評価事例」 「ポリイミド(PI)・ポリエチレン(PE)の温湿度環境下での材料評価事例」

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用途事例集

スポット冷却加熱装置は先端のアタッチメントを換えることで、半導体・電子デバイスの評価試験や材料試験など様々な用途でご活用頂けます。
これまで密閉式の恒温槽では実現が難しかったドアを開放した状態(ドアレス)での試験など、新たな評価手法をご提案できます。

「センシングデバイス向け温度特性評価装置」 「デジタル画像相関法、サーモグラフィカメラを用いた実装基板の熱変形評価」 「二次電池・半導体・プリント実装基板向け温度環境下におけるX線透視法を用いた非破壊内部観察」  

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材料評価関連装置のご紹介

「スポット冷却加熱装置」
-40〜+180℃に温度調節した空気を噴射、試料を直接冷却・加熱し、試験を効率化する
チャンバーレスシステムです。
様々な計測機器や分析・解析機器と組み合わせて、半導体や電子デバイスの温度特性試験や
故障解析、品質試験にご活用いただけます。
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「万能試験機用恒温恒湿槽」
万能試験機(引張・曲げ・圧縮)や疲労試験機にセットし、恒温恒湿環境下での材料試験を実現します。
ゴム・樹脂・フィルム等の高分子材料や接着剤等の試験にご活用ください。
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オープンラボ・WEB上での無償デモ実演のご紹介

「スポット冷却加熱装置・万能試験機用恒温恒湿槽無償デモ実演のご案内」
先端材料の評価に最適な2製品「スポット冷却加熱装置」「万能試験機用恒温恒湿槽」を実際に操作いただき、お客様の試料の温度依存性の確認や、試験効率化を検証いただく無償デモ実演を、2拠点(兵庫県、神奈川県)で承っております。
R&Dセンターでは万能試験機と組み合わせて、温(湿度)環境下での引張試験もお試しいただけます。
試料をお預かりし、WEBを通じてデモ実演の様子を配信することも可能です。お気軽にご相談ください。

・R&Dセンター(兵庫県神戸市北区鹿の子台南町5-2-5)
 所有設備:スポット冷却加熱装置、万能試験機用恒温恒湿槽、万能試験機(5kN)

・神奈川オフィス(神奈川県川崎市中原区下小田中1-29-12)
 所有設備:スポット冷却加熱装置

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WEB面談・WEB見学のご案内

「WEB面談のご案内」
WEB上でのマテリアル関連製品のご紹介・仕様のお打ち合わせが可能です。場所を問わずスムーズに面談いただけます。
”ちょっと話を聞いてみたい”、”こんなことをしたいが実現できるか聞いてみたい”など、ご興味のある方はぜひお気軽にお申し付けください。

Step1 問い合わせフォームからお申込み   Step2 弊社より詳細確認のご連絡   Step3 WEB上にてご面談
お問合せフォームからご希望の内容、
日時をご連絡ください。
  日時、WEB会議システムのご案内、
資料の事前送付をいたします。
  お約束した日時に
WEB面談を実施いたします。
「WEB見学のご案内」
WEB会議システムの動画機能を使って、スポット冷却加熱装置・万能試験機用恒温槽のWEB見学や、WEBデモ実演を実施いたします。
温(湿)度環境で樹脂試料の引張試験(5KN迄)の様子をご覧いただくことも可能です。※お客様試料での実施も可能、参考データ。

Step1 問い合わせフォームからお申込み   Step2 弊社より詳細確認のご連絡   Step3 試料・治具を郵送(ご希望の場合)
お問合せフォームからご希望の内容、
日時をご連絡ください。
  日時、WEB会議システムのご案内、
ご希望の実演内容のご確認の
ご連絡をいたします。
  事前に試料・治具を事前送付ください。
対応治具:ネジ径M6、M8、M10
         
Step4 WEB上にてご見学   Step5 WEB面談の実施(ご希望の場合)    
   
お約束した日時に
WEB見学を実施いたします。
後日参考データのお渡しも可能です。
  引き続きWEB面談を
実施することも可能です。
   

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マテリアルなお話

第7話: 熱ストレスと熱設計

エスペック株式会社 開発本部 田中浩和

 第6話では、設計段階での「熱設計」の重要性と熱対策材料としてTIM(Thermal Interface Material、熱伝導性材料)の熱伝導率測定について述べました。
 今回も引き続き、「熱設計」に配慮すべき項目となる熱ストレスによるはんだ材料への影響について紹介したいと思います。なお、事例紹介では、現在主流である無鉛はんだでは無く、今後低温実装で利用が拡大すると予想されるスズ(Sn)-ビスマス(Bi)と結晶構造が似ている、有鉛(スズ-鉛)はんだで紹介します。

熱ストレスによる市場故障事例

 電子機器の故障劣化は,製品を取り巻く環境要因によって引き起こされます。機器の保管や輸送、使用中の熱ストレス,湿度ストレス,機械ストレスなどが単独または複合ストレスとして加わることで故障に至ります。
 図1は、市場故障で回収した片面実装基板(ガラス布エポキシ基板、スズ-鉛はんだSn-37Pb、使用期間9年)の外観写真を示します。外観観察から、はんだ面のプリント配線板が炭化した状態が確認されました。
 図2は、炭化箇所のはんだ接合部の拡大写真を示します。はんだ付け部が熱により溶け出した状態が確認されました。
 使用環境の調査および故障解析した結果、”蕾拱册阿箋々宿品の振動によりはんだ接合部に熱サイクルや機械的ストレスが加わり、△呂鵑瀬ラック発生、接触抵抗値が上昇、い呂鵑誓楾臧瑤発熱、イ呂鵑精突詫擦郡霹弔炭化したと推定されました。

(図1) 市場回収した両面実装基板(左:部品面、右:はんだ面)



(図2) 基板炭化箇所のはんだ接合部拡大写真



 図3は、別な市場回収品のはんだクラック発生部を電子顕微鏡(SEM)で観察した画像です。結晶粒界(灰色部分がスズSn、白い部分は鉛Pb)が粗大化しており、結晶粒界に沿って亀裂が発生していることがわかります。
 結晶粒界の粗大化は、常温で長期保管したり、高温で加熱したりすると進行し機械的接合強度を低下させます。

(図3) 市場回収品のはんだ亀裂部SEM画像(スズ-鉛はんだ、Sn-37Pb)



熱によるはんだ結晶粒界変化

 熱によるはんだ結晶粒界の変化を検証してみました。図4に、125℃および150℃の高温雰囲気中に放置したスズ-鉛はんだ(Sn-37Pb)の結晶変化の観察結果を示します。

(図4)高温放置によるスズ-鉛はんだ結晶変化(白:スズ、黒点:鉛、×200)



 白い部分がスズ(Sn)、黒い部分が鉛(Pb)を示します。温度が高いほど、長時間加熱されるほど結晶粒界が粗大化していることがわかります。結晶が粗大化すると、例えば「おはぎ」のような米粒が大きな餅は伸びが小さいように、粗大化したはんだは、伸びが小さく亀裂発生による故障発生に繋がります。


熱サイクルとはんだクラック発生

 図5に、ガラス布エポキシ基板(FR-4、スルーホール径0.4mm、銅メッキ厚35μm)に対し、スズ-鉛はんだめっきしたサンプルを、温度サイクル試験(-40℃〜+125℃、各30分、1000サイクル)中に放置時のはんだ結晶粒界変化を示します。
 熱サイクル数が増加するほど、結晶粒界の粗大化が進行するとともに、粗大化した部分にクラックが生じている様子が確認できます。
 このように高温に置かれると、熱によりはんだ結晶粒界の粗大化し熱応力に対して弱くなった状態でサイクルストレスが加わるとクラック発生に至ります。

(図5) 熱サイクル時のスズ-鉛はんだ結晶変化とクラック発生(×500)



 以上のように、高温による熱とサイクルストレスを受けるとはんだクラック発生の故障要因になるため、高速通信やハイパフォーマンスコンピュータ、先端運転支援システムなどデータ処理量が多く処理速度が速い電子機器では、効率よく放熱できる部品配置やプリント配線板のアートワーク設計、基板の発熱部を空冷や水冷によって放熱させる熱対策などの「熱設計」が重要となってきます。

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第6話: 熱設計とTIMの熱伝導率測定

エスペック株式会社 開発本部 田中浩和

 5G通信対応スマートフォンや先端運転支援システム用ECU(Electronic Control Unit)など、データ処理量が多く処理速度が速い近年の電子機器では、設計段階での「熱設計」が重要となっています。
 そこで、第6話では、その熱設計に欠かせない熱対策材料としてTIM(Thermal Interface Material、熱伝導性材料)の一つである導電性接着剤の熱伝導率測定事例について紹介したいと思います。

熱設計の必要性

 5G通信(第5世代移動通信システム)対応のスマートフォンや、高速グラフィックス処理が可能なゲーム機器、自動車の電動化に欠かせないPCU(Power Control Unit)、先端運転支援システム用ECUは、従来に比較しデータ転送量が多く処理速度が速いため、消費電力や発熱の増大を招いています。
 図1は、64-ビットCPUを搭載するシングルボードコンピュータの動作時の温度上昇を示しています。電源を投入後、数分でCPU温度は45℃付近に到達します。その後、動画再生を行うとCPU負荷が上昇し、CPU温度は約70℃、プリント基板温度は約60℃に達します。
 このような高発熱状態では、CPUの熱暴走やON/OFFサイクルストレスによるはんだ接合部のはんだクラック発生(図2)、コンデンサや電池の高温劣化など機器の寿命の低下、冷却ファンの高速回転からの騒音による快適性低下、発熱による火傷などの原因を招きます。そこで、故障低減や快適性、安全性を保つための熱対策が必要になっています。
 このような背景から、近年は設計段階から熱対策(放熱技術など)を設計で盛り込む「熱設計」の必要性が高まっています。

(図1)シングルボードコンピュータの温度上昇



(図2)実装基板の発熱状態とON/OFFストレスによるはんだクラック



熱対策とTIM

 熱対策方法としては、伝熱の3要素(‖侘熱伝達、熱伝導、J射熱伝達)を活用します。‖侘熱伝達による熱対策として代表的なものは、冷却ファンを用い放熱量を変化させる方法です。ファン風量を上げると部品表面温度を低下させることが可能ですが、ファンが高速回転すると騒音も大きくなるため快適性が失われないように、騒音が小さなファンを用いるなどの検討も必要になってきます。
 熱伝導による熱対策としては、放熱面積を拡大するために、発熱部品へ冷却フィンを取り付け、プリント基板内にサーマルビア(伝熱用貫通穴)を多数配置、プリント基板とケースとの取り付け箇所を増やして放熱性を高めます。さらに、発熱部品へヒートパイプの取り付け、発熱部品と冷却フィン間にTIM(熱伝導性材料)を挟み込み接触熱抵抗を低減など、放熱性を高める対策を施します。
 J射熱伝達による熱対策としては、ケースの塗膜など表面処理方法を変えて輻射を促進する方法もあります。

 ここで、熱伝導性を高める材料としてTIMについて少し触れたいと思います。TIMとしては、サーマルグリース、熱伝導シート、サーマルゲル、導電性接着剤など多くの材料が開発されています。その中で重要な性能は、材料の伝熱特性(熱伝導率や接触時の界面熱抵抗)です。
 図3にTIMの代表例として導電性接着剤の硬化時の断面状態を示します。一般的な導電性接着剤は金属フィラ(主に銀)とバインダ(主にエポキシ樹脂)の混合体から形成されています。その電気的接続や伝熱は樹脂内の金属フィラが連続的に接触することによって機能しており、また機械的な接続はバインダの接着力により保たれています。
 また、主要な用途としては、パワーデバイスやパワーモジュール、LEDチップのダイアタッチ材として用いられています(図4)

(図3)導電性接着剤の硬化時の断面SEM像



(図4)導電性接着剤の使用用途(パワーモジュール)



(伝熱に関する基礎的な技術情報はこちら)
大串哲郎、伝熱解析の基礎(前編、後編)、エスペック技術情報 No.64、No.65
https://www.test-navi.com/jp/report/report_no064/1101_01/01.php

導電性接着剤の熱伝導率測定

 熱伝導性材料の熱伝導率測定には「熱線法」や「レーザーフラッシュ法」、「一方向熱流定常比較法(定常法)」が用いられています。「熱線法」や「レーザーフラッシュ法」はバルクの熱伝導率や熱抵抗を測定することは可能です。しかし、実装状態で課題となる接触面の界面熱抵抗は算出には「定常法」が用いられています。
 実装状態での定常法としては、ASTM D5470-01を応用したISO 16525-3(Test methods for isotropic electrically conductive adhesives -Part 3: Determination of heat-transfer properties)が用いられています。
 この測定方法の特徴は、実装状態を模擬したカートリッジ状の試験片を用いることによって、この界面熱抵抗を含んだ状態での有効熱伝導率や熱抵抗を測定可能なことです。
 図5にISO 16525-3で規定化された熱伝導率測定部とカートリッジ式試験片の模式図を示します。本方法は、熱伝導率が既知の上下ロッドで挟んだ試験片に対して、加熱源から冷却源へ一方向に熱を流し、定常状態における上下ロッドおよび試験片の温度分布から試験片の熱伝導率を測定する方法です。
 本測定法によって銀-エポキシ系導電性接着剤の熱伝導率を測定した結果、熱伝導率は4.5 W/(m・K)、界面熱抵抗は1.2×10-5(m2・K)/Wが得られています(詳しくは、技術情報を参照)。

 今後もデータとデジタル技術を活用した電子製品やサービスの提供およびそれを用いたデジタル社会が進展し、それに伴い電子機器の設計段階での「熱設計」の重要性が益々高まると予想されます。

(図5) 熱伝導率測定部とカートリッジ式試験片(ISO 16525-3法)



(本測定方法に関する詳しい技術情報はこちら)
平田拓哉、実装状態の伝熱特性を目的とした熱特性評価システム、エスペック技術情報
No.64 https://www.test-navi.com/jp/report/report_no064/1101_02/01.php

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第5話: はんだ材料の腐食

エスペック株式会社 開発本部 田中浩和

 第5話では、はんだ材料の腐食特性として、種類の異なる2種類のはんだ材料(錫-鉛系、錫-亜鉛系)に対し大気曝露試験を行い、その腐食形態から腐食要因について考察した結果を紹介したいと思います。

金属材料の腐食とはんだ材料

 金属材料の腐食は、材料とそれを取り巻く環境条件が反応するときに起こる現象です。特に、高密度実装化された電子機器においては、腐食によって機械的、電気的特性に変化を与え故障原因となります。
2話で紹介したように、電気化学特性から見ると、はんだ材料の主成分である錫自体は、その不動態皮膜の生成によって溶解性が低い金属です。
但し、従来の鉛含有はんだの場合、錫に比較し鉛の不動態域は、はるかに狭く中程度の酸によって鉛成分が溶解します。また、鉛フリーはんだの場合、錫に対して、銀、銅、ビスマスは貴な金属で溶解への心配は少ないですが、鉛フリーはんだ材料の中で唯一卑な金属の亜鉛を合金化したSn-Zn系については、その溶解性については注意が必要と考えられます。そこで、2種類のはんだ材料(錫-鉛系、錫-亜鉛系)に対し大気曝露試験を行い腐食性について評価しました。

大気暴露試験による表面変化

 大気暴露用の試料は、銅板(幅:10mm×長さ:30mm×厚み:0.3mm)に対し260℃、5秒間の溶融はんだめっき(Sn-37Pb、Sn-9Zn)を施し、表面付着物を完全に除去したものを用いました。大気暴露試験は、神奈川県平塚市東名高速道路脇の一般家屋の屋外へ18か月(1年半)放置しました。
写真1に大気暴露1か月、8か月、1年半後のはんだ表面のSEM像を示します。いづれのはんだ材料にも大気暴露期間1か月から腐食生成物が見られ暴露8か月以降は、表面全体を大きな腐食性物質が覆った状態でした。また、腐食生成物の元素分析結果から、硫黄(S)や塩素(Cl)が検出されました。
このS成分は、高速道路に近いことから自動車排ガスや亜硫酸ガス(SO2)、硫化水素(H2S)と考えられ、また、Cl成分は、海岸に近いこともあり海塩粒子の影響が考えられます。

断面観察結果と腐食要因

 写真2に大気暴露18か月後における錫-鉛(Sn-37Pb)および錫-亜鉛(Sn-9Zn)の断面SEM像を示します。Sn-37Pbでははんだと素地界面部にはく離した様子が観察されました。一方、Sn-9Znは、はんだ内部に対し縦方向に間隙が見られ腐食が進行した形態が確認されました。
また、素地銅板への影響は、 Sn-37Pbでは腐食が進行し、部分的に素地銅板を腐食している一方、Sn-Zn系は、素地銅板に対して腐食は確認されていません。

写真3に大気暴露18か月後の断面元素マッピング像を示します。Sn-37Pb は、腐食性物質であるClやS がはんだ内部を進行し、素地銅板まで到達している状態を示す一方、Sn-9Znの場合、ClやSは、はんだ内部に残留しており素地銅板には到達せず犠牲防食作用の様子が見られました。
また、はんだと素地界銅板面においてCu-Zn金属間化合物層(CuZn層)を形成したため、素地銅板に対して腐食進行を防止する障壁となったとも考えられます。この化合物層の形成により、 Sn-37Pbに比べ素地銅板への腐食進行が抑制された推測されます。
次に、Sn-37Pb とSn-9Znの酸素濃度分布を比較すると、Sn-37Pb の場合は、はんだ部全体酸化している一方、Sn-9Znは、表面付近のみが酸化していました。このことは、腐食反応速度の差と考えられ、Sn-37PbはSn-9Znに比較しはんだ中へ腐食反応が早く、はんだ全体で酸化物を生成していたが、Sn-9Znは、その反応が遅くはんだ表層付近のみ酸化物が生成したと考えられます。
以上のように、はんだ材料によって犠牲防食作用や金属間化合物相形成の有無によって腐食形態や下地金属への進行が異なることが、この結果よりわかりました。

本内容は、エレクトロニクス実装学会「低温鉛フリーはんだ実装技術開発プロジェクト(2000年〜2002年度)」の共同研究として行われた報告書を再編集したものであり、関係各位には深く感謝いたします。

(写真1) 大気暴露試験後の表面SEM像



(写真2) 大気暴露18か月後のはんだ断面



(写真3) 大気暴露18か月後の断面元素マッピング像

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第4話: はんだ材料のマイグレーション析出形態

エスペック株式会社 開発本部 田中浩和

 第2話では、各種はんだ材料の電気化学的性質として、溶解特性と溶解後の金属表面組織の変化を紹介しました。
第4話も引き続き、各種はんだ材料の電気化学的性質としてエレクトロケミカルマイグレーション(Electrochemical Migration) 現象を取り上げ、その発生機構と析出形態の違いについて紹介したいと思います。

”エレクトロケミカルマイグレーション”とは

 本話で取り扱うエレクトロケミカルマイグレーションとは、プリント配線板上の電極間に吸湿や結露などによって、一方の電極から他方の電極へ向かって金属イオンが移行し、金属または化合物が析出する電気化学的現象のことを指します。
このエレクトロケミカルマイグレーションは、”メタルマイグレーション” や”イオンマイグレーション” などと呼ばれてきましたが、現在では、JPCA(日本電子回路工業会)やIPC (Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuits)など業界団体が中心となり、“エレクトロケミカルマイグレーション(以下、マイグレーションと略す)”に統一された用語として使われています。

次に、このマイグレーションの発生過程について簡単に触れたいと思います。この現象は、金属溶解反応と析出反応(金属または金属酸化物析出)、電極間で起きる3つの反応に分けることできます。

(機法ゞ眤依浪鯣娠(プラス電極で発生、Mは金属を示す)

M→Mn++ne- ・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)
2O→1/2O2+2H++2e- ・・・・・・・・・ (2)
M+H2O→MO+2H++2e- ・・・・・・・・・ (3)

(供法ゞ眤粟禄佝娠(マイナス電極付近で発生)

n++ne-→M ・・・・・・・・・・・・・・・・・ (4)
2+2H2O+4e-→4OH- ・・・・・・・・・ (5)
2H2O+2e-→H2+2OH- ・・・・・・・・・ (6)

(掘法‥填亡屬乃こる反応

2M++2OH-→M2O↓+H2O ・・・・・・・ (7)
2++2OH-→M(OH)2↓ ・・・・・・・・・ (8)

 (機法吻供砲糧娠は、プラス電極にて溶解した金属は、マイナス電極上で析出し、金属または金属酸化物としてプラス方向に向かって伸び、電極間が短絡します。
反応式から見ると、水の電気分解反応により、プラス電極近傍では、(2)式によって生成したH+により局部酸性となり、マイナス電極近傍では、(5)式や(6)式によって生成したOH-により局部アルカリ性を示します。
電極が酸性側に移行すると金属イオンになりやすくなり金属溶解反応が進行します。また、アルカリ性側では、金属酸化物または水酸化物を生成することによって、マイナス電極において金属析出反応が起こります。(5)で示す反応は、大気中に含まれる約21%の酸素ガスが溶け込んだ溶存酸素の影響で、酸素の還元反応が高いため、マイナス電極で電子を奪い取ってこれらマイグレーション反応の駆動力となっています。

はんだ材料のマイグレーション析出形態

 第2話の各種はんだ材料の溶出特性の紹介では、錫-銀系(Sn-Ag)、錫-銅系(Sn–Cu)、錫-ビスマス系(Sn-Bi)はんだ材料では、錫(Sn)と同様な溶解特性を示していました。
また、2相組織の状態を示す錫-亜鉛系(Sn-Zn)や錫-鉛系(Sn-Pb)はんだ材料は、錫(Sn)に比較し卑な電位で溶解が始まることにより、亜鉛(Zn)や鉛(Pb)が優先的に溶解し、その後に錫(Sn)も同時に溶解した傾向を示しました。
そこで、各種はんだ材料のマイグレーションによる析出形態の確認のために、実験方法としてウオータードロップテスト(IPC-TM650-2.6.13)を用いて実験してみました。
実験に用いた電極には、くし形パターン(IPC-B-25 くし形基板、電極間隔=0.318mm)を用い、その電極表面上に、RAフラックスを用い3種類の溶融はんだめっき(Sn-37Pb、 Sn-3.5Ag、Sn-9Zn)を施しました。そして、一対の電極間にイオン交換水1μLを滴下し、2Vの直流電圧を印加し、常温中においてマイグレーションを発生させました。
まず、マイグレーション発生は、Sn-37Pbが短い時間で発生した一方、Sn-3.5Ag、Sn-9Znは、長い時間領域で安定し続けマイグレーション発生まで時間を要しました。これは、鉛入りはんだ材のSn-37Pbと比較し、Sn-3.5Ag、Sn-9Znのような鉛フリーはんだ材は、不働態皮膜の安定性が高く、耐マイグレーション性が高いためです。
その次に、マイグレーション発生過程の実態顕微鏡像を写真1に、マイグレーション析出形態の電子顕微鏡像を写真2に示します。
マイグレーション発生が早いSn-37Pbの析出形態は、多数の樹枝状のマイグレーションが電極間を覆っており、その組成は鉛(Pb)および錫(Sn)でした。
一方、マイグレーション発生が遅いSn-3.5Agにおいては、主幹の細い樹脂状の析出物がマイナス側からプラス側に向かって進行しており、その元素組成は錫(Sn)でした。
Sn-9Znにおいても、主幹の太い樹脂状の析出物がマイナス側からプラス側に向かって枝分かれしたマイグレーションが発生しており、その組成は亜鉛(Zn)および錫(Sn)でした。
以上のように、マイグレーション発生による析出物は、主にプラス電極の溶解元素と関係があり、はんだ材料のマイグレーション特性は、各種はんだ材料の溶解特性に影響されることがわりました。
次回(第5話)では、各種はんだ材料の腐食について紹介したいと思います。

(写真1) マイグレーション発生過程の実体顕微鏡像

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第3話: 電子部品表面処理とはんだ接合部の機械的特性

エスペック株式会社 開発本部 田中浩和

 第1話では、各種はんだ材料の特徴と表面組織、第2話では、はんだ材料の電気化学的特性について紹介しました。
第3話では、電子部品の表面処理が熱によってはんだ接合部の接合強度に及ぼす影響を紹介します。

はんだ接合と電子機器の故障

 はんだは、プリント配線板パターンなどの銅(Cu)と接合する場合、はんだ中の錫(Sn)がCuの結晶粒界に拡散(粒界拡散)し、金属間化合物をつくり接合します(図1)。このはんだ接合部が、長時間の熱や機械的応力により、結晶粒界の粗大化や金属間化合物層厚の増加が強度劣化に影響し、はんだクラック(はんだ割れ)が発生し電子機器の故障の原因となることが知られています(図2)。

はんだ接合強度の試験方法

 はんだ接合部の信頼性を評価する方法として、環境試験前後にはんだ接合部の強度測定を行います。はんだ接合部の強度試験法については、「JIS Z 3198-6 鉛フリーはんだ試験方法 - 第6部:QFP※1 リードのはんだ継手45度プル試験方法」、 「JIS Z 3198-7 鉛フリーはんだ試験方法 - 第7部:チップ部品のはんだ継手せん断試験方法」として規定されています。
「QFPリードのはんだ継手45度プル試験方法」は、図3に示す固定治具に、QFPはんだ継手基板を取り付け、45度の角度に引張接合強度を求めます。
「チップ部品のはんだ継手せん断試験方法」は、図4に示すようにせん断治具がチップ部品に対し垂直かつ部品の中央部に位置するように荷重を加え強度を求めます。

※1:QFP (Quard Flat Package): 正方形又は長方形の本体の4辺より多数のリードピンが張り出した半導体用のパッケージ

表面処理がはんだ接合強度に及ぼす影響

 調査サンプルには、QFPパッケージを用い、そのリード(Cu母材)に対し表面処理として鉛(錫:Sn/鉛:Pb)めっき、および鉛フリー(金:Au/パラジウム:Pd/ニッケル:Ni)めっきを施したものを使用しました。
はんだ材料は、鉛はんだ(Sn-37Pb)、鉛フリーはんだ(Sn-3.5Ag-0.75Cu)と、ビスマス入り鉛フリーはんだ(Sn-2Ag-0.75Cu-3Bi)を用い、片面ガラス布エポキシ基板上にはんだ印刷し、大気中でリフロー処理し接合しました。

図5に、高温試験時(125℃、2000h)のJIS Z 3198‐6による接合強度の経時変化を示します。鉛(Sn/Pb)めっき部品と、ビスマス(Bi)を含有したSn-Ag-Cu-Biはんだとの組み合わせでは、接合強度が大きく低下する傾向がありました(図5-a)。
一方、鉛フリー(Au/Pd/Ni)めっき部品では、接合強度の低下は確認されませんでした(図5-b)。これに対し、ビスマス(Bi)を含まない、鉛はんだ(Sn-37Pb)、鉛フリーはんだ(Sn-3.5Ag-0.75Cu)では、表面処理に関わらず接合強度の著しい低下は見られませんでした。
鉛(Sn/Pb)めっき部品と、ビスマス(Bi)を含有したSn-Ag-Cu-Biはんだとの組み合わせで、何かが起こっていると探るため、断面観察によるミクロ解析を行ってみました

表面処理による強度劣化の要因

 写真1に高温試験前後のビスマス入り鉛フリーはんだ(Sn-2Ag-0.75Cu-3Bi)の接合断面観察結果を示します。鉛めっきの場合、試験前に比較し試験後は、はんだと部品界面間の金属間化合物層厚が増加しているのがわかります(写真1-a)。さらに、接合面の元素マッピング(写真2)より、金属間化合物層はCu-Sn合金層であり、その界面に鉛(Pb)およびビスマス(Bi)が偏析していました(写真2-a)。
金属間化合物層厚の増加は,接合強度の低下に関係するため金属間化合物層厚の増加により強度が低下した要因と考えらます。また、界面のPbおよびBiの偏析は,Sn-Pb-Biの低温共晶組成を形成し、試験中に液相を生じ金属間化合物層が成長した要因と考えられます。
一方、鉛フリーめっきの場合、このような金属間化合物層厚の著しい成長はありませんでした。この要因は、リード界面のニッケル(Ni相)が、はんだのCuへの拡散の障壁になったため成長が抑制されたと推察されます(写真2-b)。

以上のように、電子部品表面処理とはんだ材料の組み合わせによっては、接合強度の劣化要因となるため、材料変更時などは事前の材料試験機による強度測定や環境試験が重要となります。

(写真1)高温試験前後(125℃、初期、2000h)の接合断面SEM像(Sn-Ag-Cu-Biはんだ)

(写真2)高温試験後(125℃、2000h)の接合断面元素マッピング像(Sn-Ag-Cu-Biはんだ)

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第2話: はんだ材料の化学的性質と組織

エスペック株式会社 開発本部 田中浩和

 第1話では、各種はんだ材料の特徴と表面組織について紹介しました。その観察結果から、はんだ材料によって金属間化合物相を形成しているものや、2相組織の状態を示すなど、はんだと言っても様々な表面組織を示していることが気付かれたと思います。
第2話では、少し専門的な内容にもなりますが、各種はんだ材料の溶解電位(溶液中に溶け始める電位)など電気化学的性質と、各種はんだを電気分解した後の組織観察結果から、その関係性を紹介したいと思います。

はんだ材料の化学的特性

 各種はんだ材料に対して電気化学的測定法を用いて、その特徴を明らかにしたいと思います。
実験材料には、はんだ材料を構成する単金属(錫、鉛、銀、ビスマス、亜鉛、銅)とはんだ材料(5種類)を用いました。
実験方法は、材料を1×1cmに切り出し,耐水研磨紙により表面を研磨したものを電極とし、溶解電位を測定しました。電解液には, 0.1M(モル)の硝酸カリウム(KNO3)溶液(pH=5.8、25℃)を用いました。0.1M KNO3溶液を用いた理由は、中性に近い電解溶液であり、また、各はんだ添加材料に対して不溶性化合物形成などの悪影響が小さいためです。

表1にはんだ構成材料の溶解電位を示します。溶解電位が低いほど(卑な電位と呼ぶ)、溶液中に溶けやすく傾向を示します。この表から見ると、鉛や亜鉛が溶けやすいことがわかります(卑な金属と呼ぶ)。他方、溶解電位が高い銀やビスマスは、溶液に対して溶けにくい金属であることがわかります(貴な金属と呼ぶ)。
鉛はんだが環境規制対象になったのは、鉛の溶解電位が低いため、鉛が雨水で溶け出しやすかったためです。また、亜鉛の溶けやすさを工業的に利用したのは、海の近くで良く目にするトタン板です。トタン板は、鉄に亜鉛めっきを施してあり、この亜鉛自体が犠牲になって溶けるお陰で、鉄が錆び少なく長持ちします。また、今日では自動車の車体塗装の下地処理に多く用いられています。

(表1)はんだ構成材料の溶解特性(0.1Mの硝酸カリウム溶液中)
単金属材料 錫(Sn) 鉛(Pb) 銀(Ag) ビスマス(Bi) 亜鉛(Zn) 銅(Cu)
溶解電位
(mV vs. SCE)
-183 -600 298 273 -722 89

SCE: 飽和カロメル電極(Saturated Calomel Electrode)

 次に、表2は各種はんだ材料の表面組織と溶解電位の関係を示します。
金属間化合物相を形成していた錫-銀系(Sn-3.5Ag)、錫-銅系(Sn-0.7Cu)は,錫と同様な溶解特性を示しています。したがって、これらのはんだ材料は、錫の溶解特性に影響されています。
2相組織の状態を示す錫-鉛系(Sn-37Pb)や錫-亜鉛系(Sn-9Zn)は、錫に比較し卑な電位で溶解が始まることより,鉛や亜鉛が優先的に溶解し,その後に錫も同時に溶解した錫と鉛または亜鉛の混成電位を示しました。
一方、同じく2相組織の状態を示す錫-ビスマス系(Sn-58Bi)は、錫およびビスマスの溶解電位と比較し卑な電位で溶解しました。この解釈については、ビスマスに対して溶液中の硝酸(HNO3)が影響したと考えられ、比較検証実験として、ビスマスに対して影響の小さい0.1M 硫酸ナトリウム(Na2SO4)溶液中(pH=5.9, 25℃)において再調査した結果、Snの溶解性に近い特性を示しました。

(表2)各種はんだの表面組織と溶解特性(0.1Mの硝酸カリウム溶液中)
基本組成 錫-鉛系 錫-銀系 錫-ビスマス系 錫-亜鉛系 錫-銅系
代表的組成
(mass%)
Sn-37Pb Sn-3.5Ag Sn-58Bi Sn-9Zn Sn-0.7Cu
表面組織相 Sn、Pb Sn、Ag3Sn Sn、Bi Sn、Zn Sn、Cu6Sn5
溶解電位
(mV vs. SCE)
-350 -183 -270 -675 -178
単金属との
溶解電位関係
SnとPbの
混成電位
Sn電位 Sn相当 SnとZnの
混成電位
Sn電位
溶解後のはんだ組織観察

 写真1、2に、電気分解による溶解後の電子顕微鏡像(SEM像)による表面および断面観察結果を示します。
実験方法は、プラス電極に各種はんだ材料、マイナス電極に金電極を用い、電極間に0.3mmの空間を開け、ここにイオン交換水1mLを滴下し、 1.5Vの直流電圧を印加,常温中(+25℃)に電気分解してはんだを溶解してみました。
金属間化合物相を形成していた錫-銀系(Sn-3.5Ag)、錫-銅系(Sn-0.7Cu)は、深い孔食状の現象を示しており、錫-銀系(Sn-3.5Ag)の断面観察(写真2-a)より、微細分散したマトリクス状のAg3Sn化合物を残した状態で、錫が内部に向かって著しく溶解した様子が確認されました。これは、現在、鉛フリーはんだの主流である錫-銀-銅系の高強度特性を示す要因であり、この微細分散したマトリクス状のAg3Sn化合物が、はんだの中で高強度の骨組みになっています。
2相組織の状態を示す錫-鉛系(Sn-37Pb)や錫-亜鉛系(Sn-9Zn)は、表面で全面的に侵食または孔食状の現象を示し、その侵食の程度は比較的浅い状況でした。
他方、2相組織の状態を示す錫-ビスマス系(Sn- 58Bi)は、表面でビスマス部分を残し、錫部分のみが選択的に侵食された現象を示し、断面観察結果(写真2-b)より,蟻の巣状にはんだ組織内部まで侵食が進行している様子が確認されました。
以上の述べたように、各種はんだは、その表面組織によって、溶解特性などの性質が異なりことがわかります。次回は、各種はんだ材料の機械的特性について紹介いたします。

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第1話: はんだ材料の表面観察

エスペック株式会社 開発本部 田中浩和

 本コラムでは、金属・高分子などの各種材料・新素材分野の材料評価に関わる皆様に、材料試験や分析に関する情報をお届けし、日頃のお客様のお仕事の参考になればと願っております。
まず、第1話として、現代のエレクトロニクス工業材料として重要な役割を果たしているはんだ材料について紹介したいと思います。

はんだ材料とは

 はんだと称されるものは、一般的に錫(Sn)と鉛(Pb)の合金をさします。SnもPbも融点が低く、柔らかく加工が容易なため、昔から生活用品や工芸品に多く使われています。はんだは、その配合比によって物理的性質、機械的特性が変化します。鉛はんだの場合、Snの融点は232℃、Pbの融点は327℃でありますが、SnにPbを加えれば添加量と共に融点が降下し、Snが61.3%、Pbが38.7%で183℃になり、この時の状態を共晶はんだと呼びます。この配合比によって融点が変わる性質を用いて、高温用途では、Snを19.5%以下にしPbの配合を多くすれば融点が上がり、低温用途では、ビスマス(Bi)やインジウム(In)を配合し融点を下げて用いられています。
一方、環境面からは、環境汚染物質による人体への健康への影響のため、2000年頃から鉛の含まない鉛フリーはんだが主流となっています。


(写真1)電子部品がはんだ接合されたエレクトロニクス実装基板

各種はんだ材料の特徴

 表1に各種はんだ材料の特徴を示します。鉛はんだの場合、Snの役目は母材と合金を作る役目を果たし、Pbは(1)融点を下げる、(2)機械的特性の改善、(3)「ぬれ」の改善の役目を果たします。
鉛フリーはんだの場合も、Snが母材と合金を作る役目を果たし、銀(Ag)やビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)などの合金成分が融点低下、機械的特性改善に働きます。

(表1)各種はんだの特徴
基本組成 錫-鉛系 錫-銀系 錫-ビスマス系 錫-亜鉛系 錫-銅系
代表的組成
(mass%)
Sn-37Pb Sn-3.5Ag Sn-58Bi Sn-9Zn Sn-0.7Cu
融点(℃) 183 221 138 198 227
主な特徴 ・長年実績
・鉛の影響
・機械的特性優れる
・融点高い
・融点低い ・融点従来同等
・酸化しやすい
・コスト低い
・融点が高い
異なる表面組織

 写真1に、はんだ表面の電子顕微鏡像(SEM像)による観察結果を示します。
Sn-3.5Agの場合,SnとAgが反応した金属間化合物(Ag3Sn)相を形成し,Sn相にAg3Sn相が分散した状態を示しています。同様に,Sn-0.7 Cuの場合,SnとCuが金属間化合物相を形成し,Sn相にCu6Sn5が分散した状態が確認されます。
Sn-58 Bi,Sn-9Zn,およびSn-37Pbにおいては,金属間化合物を形成せず,Sn-Bi,Sn-Zn,Sn-Pbの2相組織の状態です。
このような表面組織が、機械的特性や化学的特性にどのように影響するか、次回以降に紹介いたします。


(写真2)はんだ材料の表面組織

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